u393のサガン鳥栖な毎日

サガン鳥栖サポーター。サガン鳥栖、Jリーグ、サッカー。色んなことぼちぼちと綴ります。

サガン鳥栖 2016年選手評価&戦力補強 part.2〈MF・FW〉

MF アンカー・インサイドハーフ(ヨシキ、ミヌ、福田、石川、タハール)

今シーズンからサガン鳥栖フィッカデンティの母国イタリアで多く採用される4-3-1-2のシステムとなったが、Jリーグで同様のシステムを採用するクラブは少ない。特に4-3-1-2の「3」のポジションはこのシステムの鍵となり、豊富な運動量がベースにあることを前提に、個人の高い戦術理解も必要となる。サガン鳥栖が大崩れせずにシーズン後半になるにつれて調子を上げることができたのは、この「3」のポジションの選手を固定することで戦術理解が深まり、試合の中で余裕を持てるようになったことが大きな要因と言える。まずは中央のアンカーの位置だが、ヨシキが1年間固定して起用され、試合を重ねるごとにプレーの凄みは増した。今シーズンの影のMVPと言ってもいいだろう。Jリーグが公表するトラッキングシステムのデータを見ても、試合別の走行距離、通算の走行距離でもJリーグトップの数字を残した。走行距離が多い=良い選手と一概には言えないが、サガン鳥栖が目指すサッカーではアンカーがいかに周りの360°どの方向に対しても攻守に渡って良いタイミングでサポートができるかは重要で、その為に何度も動き直し、適正なポジションを取れている証拠とも言える。ヨシキが1年間、試合に出続けたことに伴ってアンカーのバックアップは1人として見つかることも育てることもできなかった。もし、今シーズン、ヨシキが怪我によって長期離脱が余儀なくされた場合、J2に降格していた可能性はかなり高くなる。サガン鳥栖でプロのキャリアをスタートさせたヨシキも、もうベテランの域に達しつつあり、このポジションの新たな選手の発掘をしなければ、今のシステムにおけるサガン鳥栖の未来は明るいとは言えない。アンカーの横のポジションのインサイドハーフはミヌと福田が躍動した。ミヌは今シーズンからチームキャプテンとなり、プレー以外の役割も増える中でしっかりと役割を果たした。福田はシーズン途中から先発の座を奪い、今シーズンで最も成長した選手。ミヌはこれまでに鳥栖でサイドでのプレーを何年もしてきたが、今年のシステムにシーズン序盤は上手くフィットできず、不慣れな右サイドということもあり、運動量こそ多いものの自慢の攻撃面は影を潜めることが多かった。ただ、2ndステージに入るとチームの調子とともにミヌの攻撃の切れ味は鋭さを増し、相手の脅威となった。今シーズンをもって兵役の関係で退団となるが、今シーズンを含め、順風満帆な鳥栖でのキャリアとは言えなかったかもしれないが、常に100%を見せる姿はサガン鳥栖そのものだった。福田は1stステージ終盤から左サイドの定位置を奪い、最終戦まで固定で起用され続けた。福田はこれまで中央で起用されることが多かったが、フィッカデンティによって自分の新たな居場所を見つけただろう。豊富な運動量を生かし、何度もボールにチャレンジする、そのガムシャラさは調子が上がらないチームにサガン鳥栖らしさを気づかせてくれたのかもしれない。今シーズンを主力として戦えたことは福田にとって大きな経験となるはず。あとは攻撃の精度を高め、できるプレーの数を増やしていけると吉田、福田の左サイドは相手にとって相当厄介になるだろう。今シーズンは鳥栖の未来を担う選手も誕生した。石川啓人だ。サガン鳥栖U-18のキャプテンで、これまでに年代別代表の招集歴もあり、今シーズンのリーグ戦でデビューを果たした。サガン鳥栖の歴史上、二種登録の選手が公式戦に出場するのは初。デビュー戦となった2ndステージのベガルタ仙台戦ではビハインドの状況で20分近くプレー。左のインサイドハーフに入り、シュート、ドリブルなど見せ場を作った。その後もベンチに入り続けられたことは来シーズン以上に、これからのプロ人生の大きな一歩となったはずだ。シーズン途中から加入したタハールは前所属クラブでの動画などでの評判はかなり高かったが、Jリーグのスピードに慣れるのに時間がかかったのか、フィッカデンティの戦術にフィットしなかったのか、試合にはほぼ絡むことがなかった。外国籍選手という立ち位置を考えると助っ人のような活躍ができなかったことは来シーズンの契約に大きく関わるだろう。もし、来シーズンの起用をフィッカデンティが考えているのならば試合の状況にもよるが石川ではなくタハールを起用するはず。今シーズンここまで起用しなかったことは疑問が残るポイントだ。ただ、外国籍選手はほんの少しのことでスイッチが入ることがあり、タハールへの期待感が低い訳ではないが試合での限られたプレーを見る限り、アンカーでは厳しい印象、守備意識は高いとは言えず、前から奪いにいくリスキーな守備を見るとトップ下が最も可能性は見出せるが、鎌田の存在を考えると高い年俸を支払ってまで契約は考えにくいか。総合的に見ると、アンカーの補強は急務だ。中盤の底から攻撃の組み立てに参加でき、尚且つ最終ラインの中央でもプレーできる選手を獲得できるとかなり厚みは出る。また、ミヌが兵役の関係で退団するが、そのポジションも高いレベルで多くのプレーができる選手が必要となる。ミヌは運動量と球際の強さ、縦への推進力といかなる場面でもサガン鳥栖らしさを感じることのできる選手だった。このポジションは多少の予算を注ぎ込んでも同等のレベルの選手を補強するべきと感じる。今シーズンの戦いを見ても、中盤の戦術の浸透には時間がかかった印象があり、フィッカデンティのサッカーを経験した選手を獲得するのも一つの手段だろう。

MF トップ下(鎌田)

フィッカデンティのシステムの中でチームの攻撃を大きく左右するポジション。そこを1年間務めたのは昨シーズン終盤よりトップ下のポジションを掴んだ鎌田大地。他のメンバーはシステムに置いての守備の決まり事を十分にこなせることや、攻撃のアイデア・クオリティを考えても鎌田の対抗馬となる存在は全く現れなかった。鎌田は今シーズン7得点を挙げているが、試合によってプレーにムラがあり、どんなシステム・戦術を敷く相手に対しても怖さを見せられる選手になることを期待する。どの試合でも怖さを見せられる存在になると鳥栖サポーター以外でも期待するA代表への道も開けるだろう。トップ下のポジションはどうしてもテクニカルだが運動量が少ない、また守備意識が低い選手が多いイメージがある。ただ鎌田は攻撃的なポジションゆえに途中交代も多いがトラッキングデータを見てもチームとして走行距離の多いサガン鳥栖の中でも走行距離は多いほうにランクインする。攻守において20歳とは思えない落ち着きを見せてくれるが、もっとレベルの高い選手になってもらうためには鎌田とポジションを争わせる選手も必要だと考える。能力が高く年齢も若いだけに海外も含め、いつ移籍してもおかしくないことを考えると本職のバックアップがいないのはもはや危険とも言える。今シーズンオフに鎌田が引き抜かれない限り、優先順位が高い戦力補強ではないかもしれないが今だけでなく先を考える戦力充実もフロントにしっかり考えてほしい。

FW フォワード(豊田、富山、早坂、カビル、池田、岡田、田川)

豊田は5年連続15得点以上という記録にはあと一歩届かなかったが、チームの戦術が大きく変わり、前線の選手にも決まり事が増えた中で13得点は流石サガン鳥栖のエースストライカーと言える。今シーズンは得点以外でも周りとの連携が高まり、チャンスメイクするシーンも増えた。来シーズンも豊田のプレーは衰えを知らないだろう。富山は今シーズンから加入、シーズン序盤からコンスタントに出場機会を得ることができた。序盤は得点という結果が遠かったが、プレースキックのキッカーとして新たな武器を見つけた。シーズン終盤には連続得点も記録し、前線でポストプレー、ドリブルでの仕掛け、ミドルシュート、前線からの守備と、選択できるプレーが多く、精度が高まれば来シーズンは今シーズン以上の活躍は期待していいだろう。早坂はフォワードに限らず、3ボランチのワイドで起用されることもあった。ミスが少なく、献身的にプレーでき、尚且つこなせるポジションが多い。ベテランの域に入ってきたが、運動量も多く、怪我が少ないことからチームにいると助かる存在だ。前線の選手として考えると相手に怖さを与えるプレーが少ないことは多少マイナスポイントとなってしまうが、数少ないJ2時代を知る選手としてチームを引っ張ってもらいたい。カビルはシーズン途中に加入。元モロッコ代表のFWで、セリエA時代にフィッカデンティの下でプレーした経験がある。主に豊田の相棒として起用されたがリーグ戦では結果は残せず、サポーターの期待に応えられたとは言い難いのだが、要所要所で見せる前への推進力、キープ力、身体の強さは日本人には無いものがあり、Jリーグのスピードに慣れ、来シーズン頭からチームにフィットした状態でプレーできれば、豊田との2トップはJ1屈指と言えるだろう。池田は今シーズン、先発での出場がなかった。昨シーズンまでは豊田とセットで起用されることが多く、豊田の周りで攻守のサポートで大きな役割を果たしてきたが、フィッカデンティのサッカーで前線の役割や攻め方が大きく変わり、チームでの自分の定位置を見つけられないままシーズンが終わってしまった印象。池田にとって今シーズンは正念場だったと言える。岡田は開幕戦のアビスパ福岡との九州ダービーこそ得点を記録したが、その後はシーズンが進むと同時に出場機会も激減。フィッカデンティのサッカーの中で良さを出すことが難しかった選手だろう。スピードやスプリングの能力はJ1でもトップクラスなだけに限られた出場機会で結果を残せなかったことは痛かった。田川は出場機会こそなかったが、二種登録され石川とともにトップチームの中での練習だけでも大きな経験になっただろう。年代別代表での活躍に併せて、長身、左利き、スピードもあることを考えると期待せずにはいられない。トップチームには豊田というエースストライカーが君臨しているが裏を返せば後釜の育成はできていない。出場機会はなかなか巡ってこないかもしれないが、日本を代表するストライカー豊田から色んなものを吸収し、未来のストライカー候補に名乗りをあげてほしい。来シーズンも前線の豊田という軸は揺るがないと考えられるが、豊田の相棒は今シーズンを見ても定位置を獲得できた選手はいなかった。富山とカビルには期待感こそ持てるが本気でタイトルを狙う為には豊田と同レベルのプレー及び活躍をできている実績のある選手が必要となるだろう。このポジションに目玉となる選手が獲得できれば鎌田も含めたトライアングルだけで完結できる質の高い攻撃も可能となるかもしれない。フィッカデンティのサッカーのベースがしっかりとできた今シーズンを考えると得点力アップは明確な上位進出への鍵となる。

全選手の個人的な評価とアバウトな戦力補強についてはこんな感じか。最近の移籍の噂は一切考慮していないのだが、少しずつ移籍市場が活発になってきており、サガン鳥栖の今後の動向に注目したい。来シーズンこそ、悲願のタイトルへ。

サガン鳥栖 2016年選手評価&戦力補強 part.1〈監督・GK・DF〉

2016年J1リーグ戦、全34試合の日程が終了し、J2への降格は名古屋グランパス湘南ベルマーレアビスパ福岡の3つとなった。この降格するクラブを含めて、優勝争いを演じたクラブも降格を免れたクラブも来シーズンに向けて、戦力補強を考え出したことだろう。現有戦力の維持に全力を尽くすクラブもあれば、シーズンを通して感じたウィークポイントを埋めるクラブもある。戦力充実の為の方向性はクラブのカラーによって様々だが、今シーズンのサガン鳥栖を振り返り、補強について考えてみる。

監督(マッシモ・フィッカデンティ

昨シーズン限りで森下監督が退任し、サガン鳥栖は大物指揮官の招聘を計画。世界的にも有名なマガト氏に白羽の矢を立てた。交渉は順調に進んでいるように思えたがキャンプイン直前に破談。そこで昨シーズンまでFC東京を2年間指揮しフリーとなっていたマッシモ・フィッカデンティ氏にターゲットを変更、監督に就任する形となった。ただ、監督が決定しないまま時間だけが流れ、富山や藤田など補強は行ったがフィッカデンティの考えを反映した補強は一切できなかった。それもあってか、シーズン開幕まで時間が限られる中キャンプでは走り込みに重点を置いた。シーズンが開幕すると1stステージは悪くない内容でも結果が伴わず下位に低迷。降格の2文字がすぐそこに迫っていたが、2ndステージに入るとフィッカデンティが用いるJリーグでは珍しいシステムや戦術を選手達が理解し、余裕が持てるようになると結果が出始めた。キャンプでの走り込みも功を奏し、夏場の連戦でもサガン鳥栖の運動量は決して衰える事はなかった。シーズン開幕前から今シーズンのタイトルや上位進出は難しいと思われていたが2ndステージの健闘ぶりを考えると通年して同じ戦いができていればリーグの中で面白い存在になれていた可能性は感じた。シーズンが終盤になるにつれて、より深みを増してきたフィッカデンティのサッカー、来シーズンは補強の面からも期待してもいいかもしれない。

GK ゴールキーパー(林、赤星、牲川、辻)

林はリーグ戦全試合に出場。サガン鳥栖の守護神として何度もピンチを救ってくれた。日本代表にも招集され、選手としてまだまだ伸びていくはず。ポジション取りや判断が中途半端な場面もまだあり、更に安定感が増せば今以上に頼りになることだろう。赤星はリーグ戦の出場はないが、カップ戦に出場。リーグ戦では常にベンチに入り、チーム最古参ということもあって同ポジションの林だけでなくチーム全体の精神的支柱としても大きな役割を果たしている。牲川、辻に関しては公式戦の出場はなかったが、共に若く、林、赤星との練習で日々成長できているはず。牲川はレンタルでの加入で来シーズンも延長されるか未定だが、同年代の中では屈指の実力者なだけにもう少し鳥栖での成長を見てみたい。ゴールキーパーは先発の座を獲得することが非常に難しいため、どの選手も魅力的なオファーがあれば移籍の可能性が考えられる。ただ、現時点で来シーズンに向けては牲川がレンタルバックした際、1人を補強というより補充という形で獲得するくらいの動きしかないと考える。

DF サイドバック(藤田、吉田、三丸、磯崎)

年間を通して、右は藤田、左は吉田でほぼ固定。藤田は今シーズンに加入ながら終盤の柏戦で負傷するまでは出場を続けた。シーズン序盤こそ、攻撃でも守備でも最後の部分がズレている印象があったが、チームの調子とともに藤田のプレーもフィットし欠かせない選手となった。唯一、注文を付けるなら攻撃面の精度が上がってくると更に脅威となるだろう。吉田は今年のサガン鳥栖の中で最も目立った選手と言ってもいいかもしれない。攻撃面は昨シーズンもクロスで豊田のゴールをアシストするなど、能力が高いイメージがあったが、今シーズンは守備に磨きがかかり、他チームのサイドアタッカーに対人で負けるシーンはほとんどなく、サイドから主導権を握れた事はチームとしてやりたいことをできる要因ともなった。年齢は若いとは言えないが日本代表に推す声も多くなり、日本を代表するサイドバックと競い合っても見劣りしないレベルのプレーは期待できるだろう。三丸はルーキーながら吉田の負傷中に先発起用され、出場まではいかなくてもベンチには常に入れたことは1年目としては上出来。U-23代表候補にも選出され、持ち味である速いクロスに併せて守備力も身につけば面白い存在になれる。磯崎はカップ戦のみの出場。年齢的な問題もあるが、フィッカデンティの戦術で特にサイドの選手は今まで以上に運動量が求められるようになり出場機会は減った。ただ、これまでの経験やサッカーに対する姿勢は若手のお手本となっていたことだろう。磯崎は今シーズンの起用を考えても来シーズンは戦力として厳しいかもしれない。また藤田のバックアップはおらず、アクシデントがあれば吉田を右に持ってくる以外は策が見当たらない。吉田は基本、左サイドだが右サイドでもプレー可能。三丸と藤田はサイド固定のため、右サイドが主戦場で尚且つ左もこなせ、吉田、藤田と競争できるレベルのサイドバックの補強は必要となるだろう。

DF センターバック(谷口、ミンヒョク、青木、小林)

フィッカデンティはシーズン序盤から谷口とミンヒョクの組み合わせを継続し1年を戦った。以前に指揮をとったFC東京では森重、丸山とビルドアップの能力に優れる選手を起用していたが谷口とミンヒョクはお世辞にも能力は高くない。このポジションだけに限ったことではないがセンターラインの選手の能力によって、できるサッカーは異なってくる。フィッカデンティ鳥栖では新たなやり方を模索し、時間こそかかったが強固な守備を完成させた。谷口、ミンヒョクともにフィジカル勝負のポジションでありながら大きな怪我をしなかったことは素晴らしい。また、試合を重ねるごとに両サイドとアンカーとの連携も深まり、判断のミスもほとんどなくなった。来シーズンもベースはこの2人で考えて良さそうだ。青木はシーズン途中に鹿島アントラーズより加入。経験値の高さで言えばサガン鳥栖の中でも一番だろう。先発での出場こそ少なかったが、勝ち試合でクローザー的な役割を果たした。シーズン途中での加入ということでフィッカデンティのサッカーへの戸惑いや連携等が十分とは言えなかったが、来シーズンはチャンピオンチームでの経験をサガン鳥栖に還元してほしい。小林はリーグ戦2試合わずか2分の出場に留まった。フィッカデンティ自体、センターバックを途中で変えることもなければ先発の変更もほぼしない。そして、小林よりできることが多い青木が加入し、ベンチにすら入れない日々が続き、先日クラブより契約満了が発表された。ただ、小林のこれまで貢献度は高い。2012年、甲府を契約満了となった小林はサガン鳥栖に加入。J1初年度、苦しい戦いが予想されたが尹のフィジカルを押し出すサッカーの中で役割を全うし、クラブの躍進に貢献。またその後のシーズンもJ1という舞台で攻め込まれる展開が多い中、後半の終盤に小林を投入し5バックで逃げ切る形は鳥栖の1つの時代とも言える。年齢も37歳とプロとしては残り数年のキャリアと考えられるが小林は現役続行を選択、鳥栖サポーターから見てもまだまだやれる選手だと思う。これからの活躍を期待する。現時点で小林の退団が決定し、センターバックの人数は3人と足りていない。フィッカデンティは元々センターバックにビルドアップの能力を求めており、それを考慮すると1stチョイスの谷口、ミンヒョクとは異なる特徴を持った選手の補強が考えられる。守備のチームだけに、このポジションの補強が上手くいけばシーズン通しての結果も大きく変わってくるだろう。

 

天皇杯4回戦 サンフレッチェ広島戦 戦評

本日、午後3時よりベストアメニティスタジアム天皇杯4回戦 サガン鳥栖vsサンフレッチェ広島の試合が行われた。お互いに天皇杯で敗退すると今シーズンの終了となり、鳥栖はミヌ、広島は森崎浩司のラストマッチとなる。どちらもチーム一筋の選手でサポーターに愛されていることを考えると今のメンバーで1日でも長くサッカーをし、天皇杯というタイトルを獲得したい。

まずはメンバーから。サガン鳥栖ゴールキーパーに林、最終ラインは右から谷口、ミンヒョク、青木、吉田、中盤はアンカーにヨシキ、右にミヌ、左に福田、トップ下に鎌田、前線は豊田と早坂となった。リーグ最終戦は右に吉田、左に三丸で臨んだが、今回は右に谷口、左に吉田をチョイス。サイドの攻防が鍵になるだけにこの選択は大きく試合を左右することとなった。

サンフレッチェ広島ゴールキーパーに林、最終ラインは右から塩谷、野上、森崎和、中盤は青山と丸谷のボランチ、右ワイドに柏、左ワイドに清水、シャドーは柴崎とアンデルソン・ロペス、最前線はピーター・ウタカ。各ポジションに個人で局面を一変させるだけの能力を持った選手が配置され、少ない人数でもゴールを奪える。その相手に対して鳥栖は隙を見せすぎた印象。

ゴールシーンを振り返る。広島の1点目は鳥栖陣内の中央でアンデルソン・ロペスがボールを持つと、ディフェンスラインの裏に浮き球のパスを送る。そのボールに反応した柴崎は谷口のマークを振り切り、中央へ斜めに入り、冷静にループでゴールを決めた。ディフェンスラインの一瞬の隙を突かれた形、この先制点により広島は自分たちのリズムで試合を進められた。2点目は右サイドからのコーナーキック、ニアへのボールをマークを外したウタカが右足で合わせた。自分たちの流れに持ち込めない展開でセットプレーでの失点はもったいないとしか言いようがない。3点目は後半、鳥栖陣内でボール持ったアンデルソン・ロペスが前を向き、ゴールまで30mほどの位置から左足を一閃。わずかにアウトにかかったボールは鳥栖ゴールに突き刺さった。このゴールは相手を褒めるべきではあるが、前半にアシストを決められている相手に対して、自由にプレーをさせたことは問題。結果的にスーパーゴールが決まったが、シュートではなくドリブル、パスも選択できる状態であっただけにバイタルエリアでの対応は相手選手の特徴をしっかりスカウティングして場面に合わせてプレーしたい。鳥栖は前半からディフェンスラインより中々ボールを運べずに横パスやバックパスの数がかなり多く、また右サイドバックを谷口が務めたことも影響し、右サイドではほとんどと言っていいほど縦への動きはなかった。鳥栖の選手は広島の選手に比べ、個人の武器が少なく、勇気を持って前へボールを運ぶ、もしくは楔のパスをつけられたら、もう少し動きは出たのかもしれない。途中からは中盤をボックス型にして、右に吉田、左に三丸を置いたことでサイドでボールを持てる回数が増え、左サイドからのクロスが増えた。また、カビルが投入されると前線に起点ができ、高い位置でもボールを動かせるようになった。ただ、1点が遠く、3点ビハインドというスコアが選手たちを焦らせた。後半は鳥栖も多くの見せ場を作ったが、そのままのスコアで試合終了。サガン鳥栖の今シーズンは終了した。内容は完敗、同じチームに1年で3回負けたことで、苦手なスタイル、戦術の相手には自分たちのやりたいことができないという弱点が来シーズンへの大きな課題として見つかった。2ndステージこそ持ち直したが1年間を通して、得点力不足は改善できず、結果的に水沼と藤田の2人のボール配球役の穴を埋めることはできなかった。これから戦力補強が始まるが、タイトルを本気で目指すならパスの出し手も受け手も補強が必要。出し手はフィニッシュの一つ前のパスだけでなく、中盤または最終ラインからも攻撃を組み立てられる選手が必要ということも今回の試合でわかった。今シーズンは開幕前から色んなことがあり、一時は降格の2文字もすぐそこに迫っていただけに、限られた戦力でしっかりと残留し来シーズンに繋がるベースができたことは評価したい。フィッカデンティの来シーズンの続投がほぼ決定し、補強からフィッカデンティのカラーを出せることは大きな期待を持てる。来シーズンこそ、悲願のタイトル獲得の為に、サポーターはもっとサガン鳥栖の力となれるようサポートしたい。

とりあえず、今シーズンの試合のプレビュー、戦評は今回が最後。来シーズンはもっとサッカーに詳しくなって、分かりやすくサガン鳥栖のことをブログに書いていきたいと思います。今シーズン、ブログを読んでくださった方々、お粗末な内容でしたが読んでいただきありがとうございました。

天皇杯 サンフレッチェ広島戦 プレビュー

明日、午後3時よりベストアメニティスタジアム天皇杯4回戦、サガン鳥栖vsサンフレッチェ広島の試合が行われる。先週、J1リーグ戦は全日程が終了し、チャンピオンシップに出場できないクラブの残された公式戦は天皇杯だけとなる。つまり、負けた瞬間に今のメンバーでの最後の試合となり、この試合がサガン鳥栖、またサンフレッチェ広島での最後の試合となる選手も出てくるだろう。ただ、勝利すれば同じメンバーで1日でも長く試合ができる。サガン鳥栖サンフレッチェ広島もチームを支えてきてくれた選手の為に是が非でも勝ちを掴みたい。リーグ最終戦を振り返ると両者、しっかりと勝利し天皇杯へ良いイメージのまま望むことができるだろう。今シーズンのリーグ戦での対戦成績は広島の2勝。サガン鳥栖サンフレッチェ広島への苦手意識は少なからずあるが、1stステージでの対戦より2ndステージでの対戦が明らかに力の差はないと言える戦いだった。サガン鳥栖は自分たちの形をしっかりと出す事が大切だが、2敗して見えた反省点を改善することがもっと大切かもしれない。来シーズンを見据えると苦手な相手や相性の悪いシステムを敷く相手との戦いで勝ち点を拾っていくことが大事であり、サンフレッチェ広島に勝利する事で良いイメージも作りたい。

まずはメンバーから、サガン鳥栖ゴールキーパーに林、最終ラインは右から吉田、ミンヒョク、谷口、三丸、中盤はアンカーにヨシキ、右にミヌ、左に福田、トップ下に鎌田、前線は豊田と富山を予想する。今回の広島戦にしても、今シーズンはメンバーが大きく変わることはなかった。だからといって、主力だけ極端に秀でている訳ではなく、サブのメンバーも試合に絡めば自分の役割を理解しプレーできるようになった。チームの選手人数が少ない事は怪我や出場停止のアクシデントの時に不安を残すが、今シーズンはそのリスクを犯してでもチーム全体の戦術理解を深めることができたのはプラスと言えるだろう。

サンフレッチェ広島ゴールキーパーに林、最終ラインは右から塩谷、野上、水本の3バック、中盤は青山と丸谷のボランチ、右ワイドに柏、左ワイドに清水、2シャドーは柴崎とアンデルソン・ロペス、1トップはピーター・ウタカを予想する。広島は個の能力も組織としての の能力も高いのが特徴。個人だけに気をとられると2人目、3人目が顔を出す。その連動性はチーム内で徹底されており、バイタルエリアに進入されて相手を捕まえるのは容易ではない。つまり、広島に対してはどこのポジションにボールがある段階でチャレンジを始めるのかが凄く大事で、闇雲にプレッシャーをかければ上手くかわされ、体力の消耗に追い込まれる。ただ、ここで一番厄介なことが鳥栖と広島のシステムのミスマッチだ。鳥栖を守備側で考えると相手の1トップは谷口もしくはミンヒョクがマークするが、シャドー2人はヨシキが両選手を見る形となる。ミヌ、福田が中に絞り、ヨシキをサポートすればサイドには広大なスペースが生まれ、広島の両ワイドを自由にすることとなり、主導権を握られかけない。その為にも鳥栖はピッチを広く使われることはなるべく避けたい。我慢する時間帯も多くなるかもしれないが、ピッチを広く使うということは逆に考えるとスペースが生まれる。奪いどころを絞り、カウンターでチャンスを作りたい。結果が全てのトーナメント、何としてでも勝ちを。ミヌの為にも。

ヴァンフォーレ甲府戦 戦評

昨日、午後1時30分より、山梨中銀スタジアムサガン鳥栖vsヴァンフォーレ甲府の試合が行われた。今節が2016シーズンの最終節となり、試合開始前の時点で甲府にはJ2降格の可能性が残っていた。結果は豊田のゴールで1-0で鳥栖の勝利。鳥栖に敗れた甲府残留を争う名古屋も敗れたことによりJ2降格からは何とか免れた。そんな今節の試合を振り返る。

まずはメンバーから。サガン鳥栖ゴールキーパーに林、最終ラインは右から吉田、ミンヒョク、谷口、三丸、中盤はアンカーにヨシキ、右にミヌ、左に福田、トップ下に鎌田、前線は豊田と早坂の組み合わせとなった。最終ラインの左サイドに三丸が入り吉田は右サイドで起用、前線は2試合連続ゴール中の富山に代えて早坂が入った。一方の甲府ゴールキーパーに河田、最終ラインは右から土屋、山本、津田の3バック、中盤は黒木と新井、右に松橋、左に橋爪、シャドーの位置に田中と稲垣が入り、1トップはダヴィ。ドゥドゥは怪我の影響でベンチスタートとなった。

決勝点のシーンを振り返る。鳥栖の左サイド三丸が左足でクロスを送る。ボールは甲府キーパーの河田にキャッチされるかに思われたが、河田が処理を誤る。ボールがこぼれたところ、豊田がしっかりと流し込んだ。豊田は今シーズン13点目。5年連続15ゴール以上という記録にはあと一歩届かなかったが、豊田の大半のゴールをアシストしていた藤田、水沼が移籍し、尚且つ監督がフィッカデンティに代わり要求されることが増えた中での13ゴールは流石ストライカーだと感じさせる。2ndステージこそ目指すサッカーが少しずつ形になり一時は上位に食い込むことができたが、1stステージは極度のゴール欠乏症によりチームが低迷していたことを考えるとエースの存在は大きい。また、今シーズンは豊田が自分のゴール以外にも絡む場面が増え、富山、鎌田、ミヌ等のゴール数にも繋がった。複数の選手が得点するようなサッカーをできるようになったことは来シーズンに繋がる大きな成長といえる。

試合内容自体はスタッツが物語るように鳥栖はシュート8、甲府はシュート2と鳥栖が優位に試合を運んだ。ただ、甲府も残り15分まではスコアレスという理想の流れではあったし、後半途中からドゥドゥを投入してカウンターから鳥栖ゴールに迫る場面もあった。甲府残留という目の前の目標に必死だったのは言うまでもなく、ベンチは他会場の結果も耳に入っていた上での0-0もしくはノーリスクでゴールを狙うかたちを取ったはず。それ故に、試合自体はあまり面白いものではなかったかもしれないが、そのような難しい相手に勝てたことは評価できるし、今シーズンの残りの天皇杯に繋がるだろう。今のチームで1日でも長くサッカーができるようにサポーターは12日のサンフレッチェ広島戦は声を枯らして応援したい。そして、ミヌを笑顔で送り出そう。

ヴァンフォーレ甲府戦 プレビュー

明日、午後1時30分より山梨中銀スタジアムサガン鳥栖vsヴァンフォーレ甲府の試合が行われる。2016シーズンのリーグ戦も今節が最終節、ヴァンフォーレ甲府としては残留争いの渦中におり、この試合の結果で全てが決まる相手との戦いはサガン鳥栖としては難しいものになるだろう。サガン鳥栖は前節、横浜F・マリノスにミヌと富山のゴールで2-0とリードしながら後半に追い付かれ2-2のドロー。結果は出なかったが内容は決して悪くなかった。最終節ということもあり、何も変える必要はなく、1年間の集大成を内容と結果で示したい。

ヴァンフォーレ甲府は前節、降格が決まっている湘南ベルマーレに0-1で敗れた。残留を争うライバルが揃って敗れた為、絶対絶命という事にはならず、自力で残留を決められる立場にある為そこまで重い雰囲気にならず、試合に臨めるのではないだろうか。ただ、勝ち点差はわずかに1、尚且つ残留争いをしている他のチームに比べ、得失点差−25と10点ほど不利な状況である事を考えるとしっかりと勝ち切ることが必須と言える。激しく熱い戦いが期待できる。

まずは両チームのメンバーを予想する。サガン鳥栖ゴールキーパーに林、最終ラインは右から谷口、ミンヒョク、青木、吉田、中盤はアンカーにヨシキ、右にミヌ、左に福田、トップ下に鎌田、前線は豊田と富山の組み合わせを予想。右サイドバックは前節に続き、負傷の藤田に変わり谷口が入ると思われるが、甲府のシステム3-4-3は鳥栖が苦手なシステムであり両サイドでの主導権が非常に重要になる為、中盤のサポートを含め両サイドバックのプレー、本職ではない谷口のプレーはこの試合の1つのキーになるといってもいいだろう。前線は複数得点が続いており、今節も豊田、富山、鎌田のトライアングルには期待したい。

続いてヴァンフォーレ甲府のメンバー。ゴールキーパーは河田、最終ラインは右から土屋、山本、津田の3バック、中盤は黒木と新井のダブルボランチ、右ワイドに松橋、左ワイドに橋爪、前線は田中と稲垣の2シャドー、ワントップにダヴィが入ると予想する。ドゥドゥが負傷の影響でフル出場が難しいとの情報があり、ベンチスタートが考えられる。前節の戦いを見ても、守備の我慢強さはあるが得点力が乏しく、リーグ戦での複数得点を見ると8月27日の大宮アルディージャとの一戦まで振り返ることになる。そうなると、勝ちを狙いにいく今回の試合は攻撃と守備のバランスが崩れやすくなる可能性も考えられる。甲府としての理想のパターンは前半は無失点を念頭に置き、攻撃はノーリスクの場面のみ、そして後半にドゥドゥを始め攻撃の駒を投入し、ゴールを奪い、1-0での勝利という流れ。鳥栖としては相手に合わせてしまうのではなく、自分たちのやりたいことにスポットを当ててプレーしたい。先制点を奪えば、相手のバランスは間違いなく崩れやすくなり、その隙をしっかりと突いていく展開に持ち込めると楽に試合を運べるだろう。最終節、鳥栖甲府もリーグ戦1/34以上の意味を持って試合に臨むはず。ただ、33/34の経験をしっかりと活かしたほうに結果は出るかもしれない。最高の試合を期待する。

横浜F・マリノス戦 戦評

遅くなりましたが、10月29日に行われたサガン鳥栖vs横浜F・マリノスの試合を振り返ります。ホーム最終戦ということもあり現地観戦したかったのですが、仕事がありリアルタイムでの観戦もできませんでした。その為、じっくりと試合を見れていないので試合の細かい部分は割愛させていただきます。

まずはメンバーから。サガン鳥栖ゴールキーパーに林、最終ラインは右から谷口、ミンヒョク、青木、吉田、中盤はアンカーにヨシキ、右にミヌ、左に福田、トップ下に鎌田、前線は豊田と富山。藤田の負傷の影響で前節の途中から引き続き谷口が右サイドにスライドしセンターに青木が入る形の最終ラインとなった。

横浜F・マリノスゴールキーパーに榎本、最終ラインは右から小林、中澤、パク・ジョンス、金井、中盤は兵藤と喜田のダブルボランチ、右に前田、左に斎藤、トップ下に天野、最前線は富樫。喜田、前田、天野、富樫と若い選手が多く、斎藤を含め波に乗らせたら怖い存在が多い印象。

ゴールシーンを振り返る。先制はサガン鳥栖。ミヌがドリブルでペナルティエリア右に侵入、切り返しから左足を振り抜くと豊田につられた相手ゴールキーパーの逆を突く形となり、ボールはゴールに吸い込まれた。今シーズン限りでの退団が発表されているミヌのゴール、ホーム最終戦でこのようにゴールを決めることができることはべアスタのピッチにさえも愛されているように感じた。鳥栖の追加点は後半、左サイドを鎌田がドリブルで持ち上がり、中央の富山にパス。富山のペナルティエリア外からミドルシュートはゴールに突き刺さった。富山は前節柏戦に続いてのゴール。シーズンの前半こそ、チームにはフィットしている印象はあったがゴールだけが遠かった。ただ、終盤になりゴールを積み重ね、これで今シーズン5得点目、来シーズンの更なる成長を期待させる。マリノスの反撃はここから。左サイドから兵藤の右足からのクロスを中澤がヘディングで叩き込んだ。また、斎藤がペナルティアーク付近の富樫とワンツー。リターンをもらった斎藤はペナルティエリア内を切り裂き、全てのディフェンスを剥がし、冷静にゴール。中澤、斎藤とマリノスの中心である2人、鳥栖としては注意すべきだと分かっていてもやられてしまったことは鳥栖は来シーズンの課題、リードした展開からの戦い方は考えていくべきかもしれない。だが、最近の得点シーンを振り返るとパターンも豊富で守備から攻撃に移る時間がシーズン序盤に比べて劇的に早くなったと感じる。その分、守備への負担もかかってくるが、常に守備>攻撃の比重ではなく、その試合の展開に合わせて守備>攻撃、攻撃>守備を使い分けることができるようになれば、より高いレベルでの戦いができるようになるだろう。

リーグ戦は残り1試合、残留を争うヴァンフォーレ甲府との試合。アウェイの地で難しい戦いとなることが予想されるが、今シーズンの締めくくりに相応しい試合で勝利したい。