u393のサガン鳥栖な毎日

サガン鳥栖サポーター。サガン鳥栖、Jリーグ、サッカー。色んなことぼちぼちと綴ります。

サガン鳥栖 2016年選手評価&戦力補強 part.2〈MF・FW〉

MF アンカー・インサイドハーフ(ヨシキ、ミヌ、福田、石川、タハール)

今シーズンからサガン鳥栖フィッカデンティの母国イタリアで多く採用される4-3-1-2のシステムとなったが、Jリーグで同様のシステムを採用するクラブは少ない。特に4-3-1-2の「3」のポジションはこのシステムの鍵となり、豊富な運動量がベースにあることを前提に、個人の高い戦術理解も必要となる。サガン鳥栖が大崩れせずにシーズン後半になるにつれて調子を上げることができたのは、この「3」のポジションの選手を固定することで戦術理解が深まり、試合の中で余裕を持てるようになったことが大きな要因と言える。まずは中央のアンカーの位置だが、ヨシキが1年間固定して起用され、試合を重ねるごとにプレーの凄みは増した。今シーズンの影のMVPと言ってもいいだろう。Jリーグが公表するトラッキングシステムのデータを見ても、試合別の走行距離、通算の走行距離でもJリーグトップの数字を残した。走行距離が多い=良い選手と一概には言えないが、サガン鳥栖が目指すサッカーではアンカーがいかに周りの360°どの方向に対しても攻守に渡って良いタイミングでサポートができるかは重要で、その為に何度も動き直し、適正なポジションを取れている証拠とも言える。ヨシキが1年間、試合に出続けたことに伴ってアンカーのバックアップは1人として見つかることも育てることもできなかった。もし、今シーズン、ヨシキが怪我によって長期離脱が余儀なくされた場合、J2に降格していた可能性はかなり高くなる。サガン鳥栖でプロのキャリアをスタートさせたヨシキも、もうベテランの域に達しつつあり、このポジションの新たな選手の発掘をしなければ、今のシステムにおけるサガン鳥栖の未来は明るいとは言えない。アンカーの横のポジションのインサイドハーフはミヌと福田が躍動した。ミヌは今シーズンからチームキャプテンとなり、プレー以外の役割も増える中でしっかりと役割を果たした。福田はシーズン途中から先発の座を奪い、今シーズンで最も成長した選手。ミヌはこれまでに鳥栖でサイドでのプレーを何年もしてきたが、今年のシステムにシーズン序盤は上手くフィットできず、不慣れな右サイドということもあり、運動量こそ多いものの自慢の攻撃面は影を潜めることが多かった。ただ、2ndステージに入るとチームの調子とともにミヌの攻撃の切れ味は鋭さを増し、相手の脅威となった。今シーズンをもって兵役の関係で退団となるが、今シーズンを含め、順風満帆な鳥栖でのキャリアとは言えなかったかもしれないが、常に100%を見せる姿はサガン鳥栖そのものだった。福田は1stステージ終盤から左サイドの定位置を奪い、最終戦まで固定で起用され続けた。福田はこれまで中央で起用されることが多かったが、フィッカデンティによって自分の新たな居場所を見つけただろう。豊富な運動量を生かし、何度もボールにチャレンジする、そのガムシャラさは調子が上がらないチームにサガン鳥栖らしさを気づかせてくれたのかもしれない。今シーズンを主力として戦えたことは福田にとって大きな経験となるはず。あとは攻撃の精度を高め、できるプレーの数を増やしていけると吉田、福田の左サイドは相手にとって相当厄介になるだろう。今シーズンは鳥栖の未来を担う選手も誕生した。石川啓人だ。サガン鳥栖U-18のキャプテンで、これまでに年代別代表の招集歴もあり、今シーズンのリーグ戦でデビューを果たした。サガン鳥栖の歴史上、二種登録の選手が公式戦に出場するのは初。デビュー戦となった2ndステージのベガルタ仙台戦ではビハインドの状況で20分近くプレー。左のインサイドハーフに入り、シュート、ドリブルなど見せ場を作った。その後もベンチに入り続けられたことは来シーズン以上に、これからのプロ人生の大きな一歩となったはずだ。シーズン途中から加入したタハールは前所属クラブでの動画などでの評判はかなり高かったが、Jリーグのスピードに慣れるのに時間がかかったのか、フィッカデンティの戦術にフィットしなかったのか、試合にはほぼ絡むことがなかった。外国籍選手という立ち位置を考えると助っ人のような活躍ができなかったことは来シーズンの契約に大きく関わるだろう。もし、来シーズンの起用をフィッカデンティが考えているのならば試合の状況にもよるが石川ではなくタハールを起用するはず。今シーズンここまで起用しなかったことは疑問が残るポイントだ。ただ、外国籍選手はほんの少しのことでスイッチが入ることがあり、タハールへの期待感が低い訳ではないが試合での限られたプレーを見る限り、アンカーでは厳しい印象、守備意識は高いとは言えず、前から奪いにいくリスキーな守備を見るとトップ下が最も可能性は見出せるが、鎌田の存在を考えると高い年俸を支払ってまで契約は考えにくいか。総合的に見ると、アンカーの補強は急務だ。中盤の底から攻撃の組み立てに参加でき、尚且つ最終ラインの中央でもプレーできる選手を獲得できるとかなり厚みは出る。また、ミヌが兵役の関係で退団するが、そのポジションも高いレベルで多くのプレーができる選手が必要となる。ミヌは運動量と球際の強さ、縦への推進力といかなる場面でもサガン鳥栖らしさを感じることのできる選手だった。このポジションは多少の予算を注ぎ込んでも同等のレベルの選手を補強するべきと感じる。今シーズンの戦いを見ても、中盤の戦術の浸透には時間がかかった印象があり、フィッカデンティのサッカーを経験した選手を獲得するのも一つの手段だろう。

MF トップ下(鎌田)

フィッカデンティのシステムの中でチームの攻撃を大きく左右するポジション。そこを1年間務めたのは昨シーズン終盤よりトップ下のポジションを掴んだ鎌田大地。他のメンバーはシステムに置いての守備の決まり事を十分にこなせることや、攻撃のアイデア・クオリティを考えても鎌田の対抗馬となる存在は全く現れなかった。鎌田は今シーズン7得点を挙げているが、試合によってプレーにムラがあり、どんなシステム・戦術を敷く相手に対しても怖さを見せられる選手になることを期待する。どの試合でも怖さを見せられる存在になると鳥栖サポーター以外でも期待するA代表への道も開けるだろう。トップ下のポジションはどうしてもテクニカルだが運動量が少ない、また守備意識が低い選手が多いイメージがある。ただ鎌田は攻撃的なポジションゆえに途中交代も多いがトラッキングデータを見てもチームとして走行距離の多いサガン鳥栖の中でも走行距離は多いほうにランクインする。攻守において20歳とは思えない落ち着きを見せてくれるが、もっとレベルの高い選手になってもらうためには鎌田とポジションを争わせる選手も必要だと考える。能力が高く年齢も若いだけに海外も含め、いつ移籍してもおかしくないことを考えると本職のバックアップがいないのはもはや危険とも言える。今シーズンオフに鎌田が引き抜かれない限り、優先順位が高い戦力補強ではないかもしれないが今だけでなく先を考える戦力充実もフロントにしっかり考えてほしい。

FW フォワード(豊田、富山、早坂、カビル、池田、岡田、田川)

豊田は5年連続15得点以上という記録にはあと一歩届かなかったが、チームの戦術が大きく変わり、前線の選手にも決まり事が増えた中で13得点は流石サガン鳥栖のエースストライカーと言える。今シーズンは得点以外でも周りとの連携が高まり、チャンスメイクするシーンも増えた。来シーズンも豊田のプレーは衰えを知らないだろう。富山は今シーズンから加入、シーズン序盤からコンスタントに出場機会を得ることができた。序盤は得点という結果が遠かったが、プレースキックのキッカーとして新たな武器を見つけた。シーズン終盤には連続得点も記録し、前線でポストプレー、ドリブルでの仕掛け、ミドルシュート、前線からの守備と、選択できるプレーが多く、精度が高まれば来シーズンは今シーズン以上の活躍は期待していいだろう。早坂はフォワードに限らず、3ボランチのワイドで起用されることもあった。ミスが少なく、献身的にプレーでき、尚且つこなせるポジションが多い。ベテランの域に入ってきたが、運動量も多く、怪我が少ないことからチームにいると助かる存在だ。前線の選手として考えると相手に怖さを与えるプレーが少ないことは多少マイナスポイントとなってしまうが、数少ないJ2時代を知る選手としてチームを引っ張ってもらいたい。カビルはシーズン途中に加入。元モロッコ代表のFWで、セリエA時代にフィッカデンティの下でプレーした経験がある。主に豊田の相棒として起用されたがリーグ戦では結果は残せず、サポーターの期待に応えられたとは言い難いのだが、要所要所で見せる前への推進力、キープ力、身体の強さは日本人には無いものがあり、Jリーグのスピードに慣れ、来シーズン頭からチームにフィットした状態でプレーできれば、豊田との2トップはJ1屈指と言えるだろう。池田は今シーズン、先発での出場がなかった。昨シーズンまでは豊田とセットで起用されることが多く、豊田の周りで攻守のサポートで大きな役割を果たしてきたが、フィッカデンティのサッカーで前線の役割や攻め方が大きく変わり、チームでの自分の定位置を見つけられないままシーズンが終わってしまった印象。池田にとって今シーズンは正念場だったと言える。岡田は開幕戦のアビスパ福岡との九州ダービーこそ得点を記録したが、その後はシーズンが進むと同時に出場機会も激減。フィッカデンティのサッカーの中で良さを出すことが難しかった選手だろう。スピードやスプリングの能力はJ1でもトップクラスなだけに限られた出場機会で結果を残せなかったことは痛かった。田川は出場機会こそなかったが、二種登録され石川とともにトップチームの中での練習だけでも大きな経験になっただろう。年代別代表での活躍に併せて、長身、左利き、スピードもあることを考えると期待せずにはいられない。トップチームには豊田というエースストライカーが君臨しているが裏を返せば後釜の育成はできていない。出場機会はなかなか巡ってこないかもしれないが、日本を代表するストライカー豊田から色んなものを吸収し、未来のストライカー候補に名乗りをあげてほしい。来シーズンも前線の豊田という軸は揺るがないと考えられるが、豊田の相棒は今シーズンを見ても定位置を獲得できた選手はいなかった。富山とカビルには期待感こそ持てるが本気でタイトルを狙う為には豊田と同レベルのプレー及び活躍をできている実績のある選手が必要となるだろう。このポジションに目玉となる選手が獲得できれば鎌田も含めたトライアングルだけで完結できる質の高い攻撃も可能となるかもしれない。フィッカデンティのサッカーのベースがしっかりとできた今シーズンを考えると得点力アップは明確な上位進出への鍵となる。

全選手の個人的な評価とアバウトな戦力補強についてはこんな感じか。最近の移籍の噂は一切考慮していないのだが、少しずつ移籍市場が活発になってきており、サガン鳥栖の今後の動向に注目したい。来シーズンこそ、悲願のタイトルへ。