u393のサガン鳥栖な毎日

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サガン鳥栖 2016年選手評価&戦力補強 part.1〈監督・GK・DF〉

2016年J1リーグ戦、全34試合の日程が終了し、J2への降格は名古屋グランパス湘南ベルマーレアビスパ福岡の3つとなった。この降格するクラブを含めて、優勝争いを演じたクラブも降格を免れたクラブも来シーズンに向けて、戦力補強を考え出したことだろう。現有戦力の維持に全力を尽くすクラブもあれば、シーズンを通して感じたウィークポイントを埋めるクラブもある。戦力充実の為の方向性はクラブのカラーによって様々だが、今シーズンのサガン鳥栖を振り返り、補強について考えてみる。

監督(マッシモ・フィッカデンティ

昨シーズン限りで森下監督が退任し、サガン鳥栖は大物指揮官の招聘を計画。世界的にも有名なマガト氏に白羽の矢を立てた。交渉は順調に進んでいるように思えたがキャンプイン直前に破談。そこで昨シーズンまでFC東京を2年間指揮しフリーとなっていたマッシモ・フィッカデンティ氏にターゲットを変更、監督に就任する形となった。ただ、監督が決定しないまま時間だけが流れ、富山や藤田など補強は行ったがフィッカデンティの考えを反映した補強は一切できなかった。それもあってか、シーズン開幕まで時間が限られる中キャンプでは走り込みに重点を置いた。シーズンが開幕すると1stステージは悪くない内容でも結果が伴わず下位に低迷。降格の2文字がすぐそこに迫っていたが、2ndステージに入るとフィッカデンティが用いるJリーグでは珍しいシステムや戦術を選手達が理解し、余裕が持てるようになると結果が出始めた。キャンプでの走り込みも功を奏し、夏場の連戦でもサガン鳥栖の運動量は決して衰える事はなかった。シーズン開幕前から今シーズンのタイトルや上位進出は難しいと思われていたが2ndステージの健闘ぶりを考えると通年して同じ戦いができていればリーグの中で面白い存在になれていた可能性は感じた。シーズンが終盤になるにつれて、より深みを増してきたフィッカデンティのサッカー、来シーズンは補強の面からも期待してもいいかもしれない。

GK ゴールキーパー(林、赤星、牲川、辻)

林はリーグ戦全試合に出場。サガン鳥栖の守護神として何度もピンチを救ってくれた。日本代表にも招集され、選手としてまだまだ伸びていくはず。ポジション取りや判断が中途半端な場面もまだあり、更に安定感が増せば今以上に頼りになることだろう。赤星はリーグ戦の出場はないが、カップ戦に出場。リーグ戦では常にベンチに入り、チーム最古参ということもあって同ポジションの林だけでなくチーム全体の精神的支柱としても大きな役割を果たしている。牲川、辻に関しては公式戦の出場はなかったが、共に若く、林、赤星との練習で日々成長できているはず。牲川はレンタルでの加入で来シーズンも延長されるか未定だが、同年代の中では屈指の実力者なだけにもう少し鳥栖での成長を見てみたい。ゴールキーパーは先発の座を獲得することが非常に難しいため、どの選手も魅力的なオファーがあれば移籍の可能性が考えられる。ただ、現時点で来シーズンに向けては牲川がレンタルバックした際、1人を補強というより補充という形で獲得するくらいの動きしかないと考える。

DF サイドバック(藤田、吉田、三丸、磯崎)

年間を通して、右は藤田、左は吉田でほぼ固定。藤田は今シーズンに加入ながら終盤の柏戦で負傷するまでは出場を続けた。シーズン序盤こそ、攻撃でも守備でも最後の部分がズレている印象があったが、チームの調子とともに藤田のプレーもフィットし欠かせない選手となった。唯一、注文を付けるなら攻撃面の精度が上がってくると更に脅威となるだろう。吉田は今年のサガン鳥栖の中で最も目立った選手と言ってもいいかもしれない。攻撃面は昨シーズンもクロスで豊田のゴールをアシストするなど、能力が高いイメージがあったが、今シーズンは守備に磨きがかかり、他チームのサイドアタッカーに対人で負けるシーンはほとんどなく、サイドから主導権を握れた事はチームとしてやりたいことをできる要因ともなった。年齢は若いとは言えないが日本代表に推す声も多くなり、日本を代表するサイドバックと競い合っても見劣りしないレベルのプレーは期待できるだろう。三丸はルーキーながら吉田の負傷中に先発起用され、出場まではいかなくてもベンチには常に入れたことは1年目としては上出来。U-23代表候補にも選出され、持ち味である速いクロスに併せて守備力も身につけば面白い存在になれる。磯崎はカップ戦のみの出場。年齢的な問題もあるが、フィッカデンティの戦術で特にサイドの選手は今まで以上に運動量が求められるようになり出場機会は減った。ただ、これまでの経験やサッカーに対する姿勢は若手のお手本となっていたことだろう。磯崎は今シーズンの起用を考えても来シーズンは戦力として厳しいかもしれない。また藤田のバックアップはおらず、アクシデントがあれば吉田を右に持ってくる以外は策が見当たらない。吉田は基本、左サイドだが右サイドでもプレー可能。三丸と藤田はサイド固定のため、右サイドが主戦場で尚且つ左もこなせ、吉田、藤田と競争できるレベルのサイドバックの補強は必要となるだろう。

DF センターバック(谷口、ミンヒョク、青木、小林)

フィッカデンティはシーズン序盤から谷口とミンヒョクの組み合わせを継続し1年を戦った。以前に指揮をとったFC東京では森重、丸山とビルドアップの能力に優れる選手を起用していたが谷口とミンヒョクはお世辞にも能力は高くない。このポジションだけに限ったことではないがセンターラインの選手の能力によって、できるサッカーは異なってくる。フィッカデンティ鳥栖では新たなやり方を模索し、時間こそかかったが強固な守備を完成させた。谷口、ミンヒョクともにフィジカル勝負のポジションでありながら大きな怪我をしなかったことは素晴らしい。また、試合を重ねるごとに両サイドとアンカーとの連携も深まり、判断のミスもほとんどなくなった。来シーズンもベースはこの2人で考えて良さそうだ。青木はシーズン途中に鹿島アントラーズより加入。経験値の高さで言えばサガン鳥栖の中でも一番だろう。先発での出場こそ少なかったが、勝ち試合でクローザー的な役割を果たした。シーズン途中での加入ということでフィッカデンティのサッカーへの戸惑いや連携等が十分とは言えなかったが、来シーズンはチャンピオンチームでの経験をサガン鳥栖に還元してほしい。小林はリーグ戦2試合わずか2分の出場に留まった。フィッカデンティ自体、センターバックを途中で変えることもなければ先発の変更もほぼしない。そして、小林よりできることが多い青木が加入し、ベンチにすら入れない日々が続き、先日クラブより契約満了が発表された。ただ、小林のこれまで貢献度は高い。2012年、甲府を契約満了となった小林はサガン鳥栖に加入。J1初年度、苦しい戦いが予想されたが尹のフィジカルを押し出すサッカーの中で役割を全うし、クラブの躍進に貢献。またその後のシーズンもJ1という舞台で攻め込まれる展開が多い中、後半の終盤に小林を投入し5バックで逃げ切る形は鳥栖の1つの時代とも言える。年齢も37歳とプロとしては残り数年のキャリアと考えられるが小林は現役続行を選択、鳥栖サポーターから見てもまだまだやれる選手だと思う。これからの活躍を期待する。現時点で小林の退団が決定し、センターバックの人数は3人と足りていない。フィッカデンティは元々センターバックにビルドアップの能力を求めており、それを考慮すると1stチョイスの谷口、ミンヒョクとは異なる特徴を持った選手の補強が考えられる。守備のチームだけに、このポジションの補強が上手くいけばシーズン通しての結果も大きく変わってくるだろう。